【ケンタッキー考察】からあげの聖地・大分ではKFCも苦戦!?中津・宇佐に店舗が無い理由と日田店の役割

ケンタッキーは大分出店に慎重なのか今一度考える

どうも、ケンタッキーのおじさんの顔の下にあるのがリボンではなく棒人間の手足だよという話を聞いてもうそれにしか見えなくなった43歳の初夏です。

 

さて、「からあげの聖地」として全国的に知られる大分県。

特に中津市宇佐市には数多くのからあげ専門店が軒を連ね、地元で深く愛されるソウルフードであり、県外からも多くの人々がその味を求めて訪れます。

このようなからあげ文化が非常に色濃い大分県において、世界的なフライドチキンチェーンであるケンタッキーフライドチキン(KFC)についてこういった声が聞かれます。

 

「地元のからあげ人気に押されて、店舗展開に苦労してるんじゃない?」

 

事実、からあげの主要エリアである中津市や宇佐市周辺にはKFCの店舗が見当たらない状況(2025年5月現在。近隣の日田市には1店舗存在)が、こうした見方を後押ししているのかもしれません。

今回の記事では「KFC大分苦戦説」とも言える状況について、大分県のからあげ文化の特色、KFCの店舗展開の現状、そして地元からあげ専門店との関係性などを踏まえながら、その背景を考察します。

 

大分県におけるからあげ文化の確立

まず、大分県のからあげ文化がいかに生活に浸透しているかを見ていきましょう。

「中津からあげ」「宇佐からあげ」のブランドからあげとして「総本家もり山」や「からあげの鳥しん」、宇佐市の「からあげ太閤(たいこう)」など、その名を聞けば多くの方が思い浮かべるような有名店が多数存在します。

 

多くは醤油をベースにニンニクやショウガなどを効かせた各店独自のタレでしっかりと味付けされており、冷めても美味しいと評判です。

地元ではこれらの専門店がごくごく日常的に利用されています。

大分県民にとってからあげは特別な日の料理というよりも、日常の食卓に並ぶ惣菜であり、地域の集まりや行事ごとにも欠かせない一品です。

持ち帰り専門店の利便性も高く、夕食のおかずや弁当の具材として頻繁に購入されています。

また「からあげ」と一口に言っても、使用する鶏肉の部位(もも、むね、手羽など)や味付け(醤油系、塩系、スパイシー系など)、揚げ方など、店舗ごとに創意工夫が凝らされています。

中津や宇佐には長年地元で支持される人気店が数多くあり、それぞれが独自の味を追求しています。

こうした確立された「からあげ文化」の中で、KFCがどのような位置づけにあるのかは興味深い点です。

 

大分県におけるKFCの店舗展開

では、大分県内におけるKFCの店舗数はどの程度なのでしょうか。

2025年5月時点で調査したところ、大分県内には12店舗のKFCが営業しています。

全国のKFC総店舗数と比較すると、この数が特別に少ないとは言えないかもしれません。

近隣県の店舗数(例:宮崎県14店舗、長崎県12店舗、佐賀県10店舗 ※過去のデータ参照)と比較しても、大分県だけが著しく少ないというわけでもなく、一定の市場を確保していると見ることができます。

ただ!注目すべきはその立地です。

12店舗の多くは、大分市や別府市といった県内の主要都市部の商業施設内や幹線道路沿いにあります。

そして指摘されているように、からあげの聖地と名高い中津市や宇佐市には、現時点(2025年5月)でKFCの店舗は確認できません

この点が「苦戦説」の一因となっていると考えられます。

一方で、大分県西部に位置するここ日田市にはKFCの店舗が存在しており、これは中津・宇佐エリアとは異なる市場特性を反映している可能性があります。

 

「KFC苦戦説」の背景を考察

中津・宇佐エリアに店舗がないこと、また県全体の店舗数が全国平均と比較して多くはないことから囁かれる「KFC苦戦説」。

その背景として考えられる要因を整理してみましょう。

 

地元からあげ専門店との競合関係

日常的に和風の醤油ベースのからあげに親しんでいる消費者にとってKFC特有のハーブ&スパイスを効かせたフライドチキンは、日常食というよりは時折楽しむ特別なメニューという位置づけになる傾向があるかもしれません。

また地元のからあげ専門店では、グラム単位での販売や比較的安価なパック商品が多く見られます。

KFCのメニュー構成と比較した場合、日常的な購入頻度や量を考慮すると地元専門店の方が手軽に利用しやすいと感じる消費者が多い可能性があります。

そして利用シーンの違いです。

「夕食の一品」や「お弁当のおかず」といった日常的な需要に対しては、持ち帰り専門のからあげ店が強みを発揮します。

一方KFCは、誕生日やクリスマスなどのイベント時や、友人同士での食事など、やや非日常的なシーンでの利用が中心となる傾向が考えられます。

 

「店舗がない=苦戦」という見方の相違

特定の地域に店舗が存在しないことが必ずしもその企業が当該県全体でビジネス的に「苦戦」していることを意味するわけではありません。

KFCは世界的に認知されたブランドであり、その商品力とブランドイメージは日本、いや世界規模で確立されています。

事実大分県内に12店舗が存在し、それぞれが安定した経営を行っているのであれば、それは独自の顧客層やニーズを的確に捉えている結果と言えるでしょう。

 

    日田市のKFC店舗の状況と、独自の鶏肉文化

    中津・宇佐エリアとは異なり、私の活動地でもある日田市にはKFCの店舗が存在します。

    このKFCの役割を考える上で、まずは日田市ならではの鶏肉文化にも触れておきましょう。

     

    日田市内でも例に漏れずからあげを専門的、またはメニューの一部として提供しているお店が多数存在し、年々増えているような印象があります。

    ただ他の地域と比べて特徴的な点として、からあげ専門店や鶏肉を扱うお店の中に鶏のタタキや鶏刺といった、より鮮度が求められる鶏肉料理を一緒に提供しているケースが比較的多く見受けられます。

    これは元々精肉店として新鮮な鶏肉を扱ってきたお店が、その強みを活かして専門知識や仕入れルートを背景にからあげの調理・販売も手がけるようになったり、あるいは日常的に質の高い鶏肉を仕入れやすい環境にある店舗が多いためではないかと考えられます。

     

    実際に、日田市内には例えば「西邑かしわ専門店」、「竹やぶ 日田店」のように、からあげと共に新鮮な鶏のタタキや鶏刺などを提供しているお店があり地元の人々に親しまれています。

    ※鶏刺やタタキの提供は衛生管理上、加熱用として販売されている場合もあります。保存方法や常識を考慮し、気になる場合は購入時お店にご確認ください。

     

    とまぁこうした背景から、日田市民にとっては揚げたてのからあげと同時に、新鮮な鶏のタタキや鶏刺を同じ店で購入して味わう機会が比較的多いと言えるかもしれません。

    実際私の地元では、町ぐるみのイベントが終わった後の打ち上げには必ずと言っていいほどからあげと共に鶏刺(タタキ)が出てきて、我らオッサンの胃袋と酒欲を満たしてくれます。鶏刺には焼酎も日本酒も合うよってに。

     

    このような地元ならではの鶏肉消費のあり方も、KFCのような全国規模のフライドチキン専門店と地元の多様な鶏料理店との間での棲み分けや共存関係に影響を与えている可能性があります。

    ではこのような地域において、KFCはどのような役割を担っているのでしょうか。

     

    ■地元鶏料理との選択肢

    日田市にも個性豊かなからあげ店や鶏料理店が多くありますが、KFC独自のハーブとスパイスで調理されたフライドチキンは、地元産の鶏肉料理とは異なる味わいやブランドを求める消費者にとって魅力的な選択肢の一つとなります。

     

    ■広域からの集客と利便性

    日田市は大分県西部の主要都市であり、観光客やビジネスで訪れる人も少なくありません。

    KFCは、そうした広域からの来訪者にとっても馴染み深く、利用しやすいファストフードの選択肢を提供しています。

     

    ■多様な食のニーズへの対応

    全国チェーンであるKFCは均一化された品質とサービス、そして特定のイベント(クリスマスなど)での需要に応えることができます。

    これは日常的に地元産の新鮮な鶏肉料理に親しむ人々にとっても、時には異なる食の楽しみ方を提供するものです。

     

    このように、日田市のKFCは地域の鶏肉文化と共存しながら独自のポジションを確立し、多様な消費者のニーズに応える役割を果たしていると考えられます。

    ちなみに私の母親も、2~3カ月に一回くらい「今日はケンタッキー食べたいから買ってきて」という欲求が漏れ出てきます。

    からあげとは違った魅力欲求がKFCにある事は間違いないと思いました。

     

    まとめ

    「からあげ聖地・大分でKFCは苦戦している」という見方は、中津・宇佐に店舗がないという事実や地元からあげ文化の強固さから想起されるものですが、KFCが大分県全体でビジネスとして成立していないと断じるのは短絡的かもしれません。

    大分県の強力なからあげ文化は、KFCにとって他県とは異なる独特な市場環境であることは確かです。

    しかしKFCもまた、長年にわたり築き上げてきたブランド力と独自の商品で、地元からあげとは異なる価値観や利用シーンを求める消費者に支持されている可能性があります。

    日常的には地元の絶品からあげを楽しみ、時としてKFCのオリジナルチキンや期間限定商品を味わう。

    こうした食の選択肢の多様性は、豊かな食文化の証とも言えるでしょう。

    KFCが今後、大分県内でどのような店舗戦略を展開していくのか、また、地元のからあげ専門店がどのように進化していくのか、注目されるところです。

    大分県の食文化の奥深さが、こうした興味深い関係性を生み出しているのかもしれませんね。ではまた。

     

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